よはくのらくがき

2005年から社会人、2016年からフリーランス。時折会社員へと往復したり、色々働くを実験・実践中。気づいたこと考えたことをまとめていきます。

自走力を育む4つの条件

前々回、自走型人材を扱ったところから派生して、今回は、

「自走力はどうやって育まれるのか?」について考えてみます。

 

自走力が育まれるってことは、自走する訓練ができる、ということで、

言い換えると、自ら考える機会が得られ、かつ、訓練ができること。

もうちょっと要素分解して、以下の4つにまとめてみました。

(書き起こすとめっちゃ当たり前なんだけど、これ全部満たしてる職場や環境ってあまり多くない気がしています)

 

1.一見何も生まない「考える時間」は許容されるか?

2.考える材料(情報)が提供され、かつ、アクセスしやすいか?

3.思考に対して適切なフィードバックやコーチングが得られるか?

4.考える習慣のある人が周りに多いか?

 

以下それぞれ書き起こします。

 

1.一見何も生まない「考える時間」は許容されるか?

考える時間が必要、というのは、直感的に誰もが理解できることだと思います。

ですが、「何も生まない時間」は、賃金や報酬を伴っていると、受け入れがたい(できれば減らしたい)物でもあります。

 

何かを考える時間は、側から見ると何も生み出していないようにも見えます。

(何か資料作成が進むわけでも、アウトプットが出るわけでもないので)

厄介なのは、実際に思考しているか、していないか、は判別がつかないし、

一生懸命考えて何も生み出せない(特に創造力を要する仕事だと)、ということもあるので、なおさら判別がしづらいです。

 

勝手に個人の時間で考えるなら、誰も何も言わないんですが、

多くの場合、仕事の時間には(支払い形態は異なれど)賃金や報酬が発生するので、報酬を払うからには何かを得たい、という心理が働きます。

(これはこれで当然のことですね)

そのため、ただ考える、ということに時間を費やすのを許容するのは、割と難しく、これを許容する、というのを第一の条件と置いています。

 

2.考える材料(情報)が提供され、かつ、アクセスしやすいか?

考える時間が確保できたら、次は思考の質です。 

こと思考においては、より良質でより正確な材料(情報のインプット)がとても重要になってきます。

思考の質だけを考えたら、情報はフルオープンな方が良いですが、

・特許や知財、秘密のノウハウなど、機密にすべき

・上場企業なら株価に影響するなど、開示する影響が大きい

・表面だけ伝わると誤解を招く恐れがあるなど、何らかの事情で開示しづらい

などなど、情報をオープンにすることを阻害する要素もあるため、考える情報を入手できるかどうか、は、組織によって異なります。

また、情報の整理そのものは、直接付加価値を生み出さないため、情報の整理を後回しにしている組織も多くあります。あと、単純に人手不足、もありますし。

(取りに行くスタンスが大事なのは前提ですが、取りやすい場所に置いておけるかは別の問題)

なので、情報のオープンさ、アクセスのしやすさを高めることは、自走を促す上では大事な要素になります。

 

3.思考に対して適切なフィードバックやコーチングが得られるか?

3つ目にこれ。思考や自走の質を高めるに、自ら振り返りを行うのも大事なのですが、

「育む環境」と考えると、客観的に誰かに見てもらい、適切な軌道修正ができるかどうかはとても大事になります。

具体的には、良い上司やメンター、コーチなどがいるか、見つけられているか、ということです。

(ちなみに、直接の上司など、身の回りにそういう人がいなくても、適切な存在を見つける努力はできます)

 

4.考える習慣のある人が周りに多いか?

最後にこれ。めちゃくちゃ重要だと思ってまして、

考える習慣を持っている人が周りにいると、考えることは促進され、

考える習慣がない人が周りに多いと、考えることは抑制されます。

(運動も一緒ですね。コミュニティの効果は偉大です)

 

今回は「環境」という切り口で書きましたが、環境は整えていくものなので、

1〜4の条件を「たとえ今がそうじゃなくても」作りにいくことこそ、

自走力を育む上で最も重要なのかもしれません。

 

時間をタテとヨコで捉えなおす

いくつかの会社や仕事に携わらせて頂いていて、「切り替え」や「時間の使い方」について、どうやってるか質問を頂くことがあります。

今回は、時間(だけじゃないかもしれませんが)の区切り方について、整理してみます。

一つの会社でも複数のロールやプロジェクトに関わっている人はいる、というか多いと思うので、少しでも参考になれば嬉しいです。

 

<ざっくりまとめ>

■攻めの時間と守りの時間がある

■攻め:一見何もしてないように見える、考える時間が重要

■守り:減らした方が良い、と決めつけない

■攻めはタテでまとめて、守りはヨコに散らす

■バランスが悪いと何が起こるか

■タテとヨコを意識しながら予定表を見てみよう

 

f:id:matsuinu:20190306104702p:plain

タテ(攻め)の時間とヨコ(守り)の時間

 

■攻めの時間と守りの時間がある

仕事=何らかの価値を生み出すこと、だとすると、

(数値で測れるとは限らない)

・実際に価値を生み出す「攻めの時間」と、

・価値を生み出すために必要な「守りの時間」に、

大別できると考えます。

具体的には、

攻めの時間・・・アウトプットする、何かを作る、物事を考える、ブレストする、提案する、作業を進める、など

守りの時間・・・インプットする、状況理解をする、イレギュラーに対処する、依頼の対応をする、定例会議に参加する、など

 

を想定して、定義しています。

(人によって定義は微妙に変わるかもしれません。しっくりくる捉え方をして頂ければと思います)

 

■攻め:一見何もしてないように見える、考える時間が重要

攻めの時間は、価値を生み出す時間なので、「何かやってなきゃいけない」

って考える方もいらっしゃいます。

(予定表が埋まってないと、何かしてないと、不安になる、的な)

が、新しい価値を生み出す上では、「手を動かさず、じっくり考える」ことが

とても大事になってきます。

これまで色々な方のカレンダーや時間の使い方を見てきましたが、「考える時間」を確保していない方は、とても多いように思います。

 

■守り:減らした方が良い、と決めつけない

守りの時間、というと、できるだけ減らした方が良い、と決めつける方もいらっしゃいますが、そうは思いません。

(多すぎるのは問題ですが)

価値を生み出したり、良質な思考をする上では、「適切に、鮮度や質の高い状況理解をする」ことがカギになってくると思います。

ちなみに、ここで言う守り、には、明らかに減らした方が良い雑務は含みません。

 

f:id:matsuinu:20190301133747p:plain

タテとヨコで時間を取る

■攻めはタテでまとめて、守りはヨコに散らす

考えたり、何かの作業をする際には、「出来るだけまとまった時間を確保する」のがポイントだと思います。

車のギアが高い状態を維持する、だったり、スポーツで言う「ゾーンに入る」みたいな感じです。集中力が高まれば高まるほど、攻めの時間は良質になります。

これを、「タテの時間」とします。

複数の仕事やプロジェクトに関わっている場合は、一つの「攻め」の時間には、一つの仕事やプロジェクトに集中することがポイントになります。

 (なお、適度な休憩も必要です)

 

関わるプロジェクトや仕事にもよりますが、状況が都度変化する場合は、適切な頻度でのキャッチアップが必要になりますので、適切な頻度で、守りの時間をとることが大事です。

これを「ヨコの時間」とします。

 

■バランスが悪いと何が起こるか

 

攻めの時間が少なければ、そもそも生み出す価値が少なくなり、守りの時間が少なければ、思考の質が下がったり、適切ではない判断に繋がるため、ムダが生まれたりします。

攻めと守りのバランスは重要です。

(なお、それほど大組織でもないのに大組織並みの状況理解を要求し、結果として攻めに時間が使えないケースも散見されます)

 

■タテとヨコを意識しながら予定表を見てみよう

ぜひ、タテとヨコを意識して、予定表を見てみてください。

・タテの時間がプロジェクトをまたいでごっちゃになってないか

・思考の時間は取れているか

・ヨコの時間は多すぎないか、少なすぎないか

など。

バランスが悪いな、と思ったら、整えることで、よりスッキリと時間を使えるかもしれません。

 

「自走型人材」を要素分解してみる

採用の仕事や組織づくりの仕事、その他諸々の仕事に携わってきて、

ほぼ、どの会社も口を揃えて「自走する人材が欲しい、自走する人材になって欲しい」と言っているような気がします。

 

色々、定義はありそうですが、私なりに「自走型人材」の要素を考えてみたいと思います。

なお、自立型、とか、自律型、とか色々表現はあるけど、概ね同じくくりだと認識しています。

表面的に捉えると色々誤解があるようにも思います。

 

ざっと検索するだけで色々出てくるので、それは割愛するとして、 

自立型人材 - Wikipedia

(ちなみにWikipediaにも定義が載ってた) 

 

まず一言で言い換えると、

「チームに求められる自己のベストパフォーマンスを、自ら発揮することができる」

かな、と考えました。

 

これを、

・チームに求められる

・自己のベストパフォーマンスを

・自ら発揮することができる

と要素分解します。

(当たり前っぽく書いてあるけど、どれも結構難しいです) 

 

・チームに求められる

チームに求められていることをすると、チームに貢献できます。 

こう書くと当たり前だし、だいたいのチームでは目標や役割を明示してたりするので、

一見、とても簡単なように見えます。

 

が、チームが本当に何を目指しているか、何を求めているかって、

案外、明示されてるものと違ったりします。

なので、

「今、何に取り組んでいるんだっけ?」

「本当に解決すべき課題は何なんだっけ?」

を、表面的にではなく、本質的に捉えにいくことが大事だと思います。

 

・自己のベストパフォーマンスを

次にこれです。これも、当たり前に見えるけど難しいです。

自分は何ができて、何ができないのか、を、正しく理解して、周囲に認知してもらうこと。

特に「何ができないのか」は、掴むのも、周りに表明するのも、難しいですね。

(私も未だに苦手です)

できないことをできるって言っちゃうと、自分も周囲もツラくなります。

(もちろん、できないことができるようになるようチャレンジする、ということも時には大事だし、それが成長に繋がるのですが)

 

あと、もう一つ注意すべきなのが、

ここで言う「できること」「できないこと」は、チームの中での相対的な立ち位置で捉える必要がある、ということです。

自分が完璧にできないから「できないこと」と思っても、チームの誰もが苦手なことであれば、自分がやるのが適切かもしれませんし(無いものは外から調達する、という視点も大事だけど、調達できるかどうかはわからない)。

自分を知ることはもちろんなのですが、チームメンバーのことを理解して、自分は何ができるのか、何ができないのか、を理解することが大事だと思います。

 

・自ら発揮することができる

最後にこれ。チームに求められていることと、自らのできることが明らかになったら、

それを実際に発揮することで、初めて自走になります。

自らの役割をきちんと定義し、明示し(チームに対して合意を形成し)、その役割を全うする。必要に応じて、協力体制も整える。

これができると、チームに対して最大限の貢献を果たせると思います。

ちなみに、チームへの合意形成が無いと、単なる暴走や独りよがりになってしまいます。

(たまに遭遇します。これに対するチームの許容度、みたいな話もある気がしていますが、それはまた別の機会に。)

 

これらを「自走力」って仮に定義したとすると、自走力って訓練によって身に付くコスパの高い習慣・能力のような気がしますし、

自走力を育む環境と、そうじゃない環境があるなぁと思います。

前者のような環境を選ぶことは、とても大事だなあと、改めて思います。

 

組織のハードとソフトをマッチさせよう

前回

  1. 組織にはハードとソフトがある
  2. ハードとソフトがマッチしないと上手くいかない
  3. ハードとソフトは、連動して成長・成熟させる必要がある
  4. ハードよりもソフトの進化をちょっとだけ優先しよう

のうち1を論じたのですが、今回は、組織のハード(運営形態や仕組み)とソフト(構成する人の自走度合い)はマッチしないとうまくいかないよ、という話をしたいと思います。(2と3)

f:id:matsuinu:20190208193819p:plain

組織のハードとソフトは連動させよう

 

組織の運営スタイルや仕組みは、構成メンバーの成熟度と合わせる

管理しないと困るケースには、

①規制をしないと意図せぬ「悪いor非効率な」動きをする

②指示をしないと動けない

の2つがあります。

(ちなみに、管理が厳しくても、人は抜け穴を探し出すので、管理すれば管理できるってわけでもない)

 

じゃあ①や②の人をクビにすれば良いか、というと、それだと事業・仕事が回らないし、単に課題と向き合うことの放棄になるので、

色々と仕組みを作って管理したり、自走を促すよう育成したりしていきます。

 

ソフトはいつの間にか変わる、ハードはアップデートさせ続ける

上記に向き合った結果、適合しない人が辞めたり、育成によって自走度合いが上がったりするので、

(図で言うところの右側に寄っていく)

なんとなく、「今の仕組みがワークしない感」が出てきます。

(もっとややこしいのは、全員の自走度合いが同じわけじゃなくて、組織の中でも自走の度合いに違いが出てきます)

 

そのため、どんなにしっかりとした制度や仕組みを作ったとしても、きちんとチューニングし、アップデートしなければならないと思います。

 

これは肌感ですが、変化のスピードは時を追うごとに早くなってきているので、

時間と労力とお金を掛けて、大掛かりの仕組みを作るのではなく、

検証とマイナーチェンジ、バージョンアップを繰り返しながら、徐々に図の右上にシフトしていく、と言う気持ちで、ハードづくりに取り組むのが良いと考えます。

(そして、往々にして大掛かりに人事の仕組みを作った会社ほど、サンクコストに囚われてバージョンアップを怠り、結果仕組みに縛られる、という悲しいケースも結構ある気がしています)

 

次は、冒頭の4について書こうと思ったんですが、ハードとソフトのアップデートについて、考えをまとめてみたくなったので、次は「ソフトはハードに引っ張られる」ことと、「ソフトはどうやって右に持っていくのが有効か」を、考察しようと思います。

(そして、ここまで整理したら4はなんだか違う気がしてきました。笑)

 

考えるべきことを、考えざるを得なくするために色々工夫する 〜自然経営研究会イベントの感想〜

前回の投稿の続きを書こうと思ったけど、昨日参加したイベントでの気づきを書きます。

 

ちなみに主催者はこちら。

(当事者ではないけれどとりあえず宣伝)

jinen-management.org

 

2部制でパネルディスカッションが行われ、4社の自然経営を実践している企業の方が話され、色々なネーミングや、仕組みや、制度の紹介などもあったのですが、

自分なりにぐぐーっと意訳すると、キモは、

「考えるべきことを、考えざるを得なくするために色々工夫する」

に尽きるんじゃないかな、ということでした。

(本当に意訳です。取材も来ていたから、イベントの内容そのものはそちらのレポを見た方が良い気がします笑)

 

ポイントは、

1)考えるべきことを考える

2)考えざるを得なくなる仕組み作りや工夫をする

の2つかなと。

(イベント参加時は2だけだったんですが、振り返ると1も大事なポイントだな、と)

 

前提:これから残るのは「考える仕事」

機械に取って代わられる仕事って、「考えなくても良い仕事」で、

人間がやるべきは「考えること」に、これから益々なっていくと思います。

(広義で言うとクリエイティブになるのかな。細分化すると色々ありそうだけど)

となると、これからの「付加価値の源泉」は、「考えること」であるとも、

ちょっと強引ではありますが、言えると思います。

 

1)考えるべきことを考え、そうでないことは考えない

「考えた成果」をより多く出す上で、なんでもかんでも考えてたら、時間も体力も足りなくなります。

なので、

「考えるべきことと考えなくて良いことを仕分け、考えなくて良いことは、極力考えなくて良いようにする」

ことが必要だなぁと改めて思いました。

 

2)考えざるを得なくなる仕組み作りや工夫をする

 で、その次に、考えるのって気分が乗らないと中々進まなかったり、

ついつい考えなくて良いことを考えてしまったりするので、次にポイントなのが、

「考えるべきことを、考えざるを得なくなる仕組み作りや工夫をする」

なのかなと思います。

昨日のイベントで話されていた具体的な制度や仕組みは、つまるところここに向かっているのかな、と思います。

 

 

自然経営、と言うネーミングの通り、考えることを強いるのではなく、

「考えるべきことを、考えざるを得なくするメカニズム」を、いかに自然に作るか。

(考えることを強いるのも、時や人によってはとっても有効)

 

ここに知恵を絞り工夫をし、試行錯誤するのが、

自然経営における経営者の大事な仕事なんだろうなー、と思いました。

(私自身は経営者でもなんでもないんだけど)

 

 

追伸:折角なので、イベント登壇者の方々が宣伝してた本もご紹介。

管理ゼロで成果はあがる ~「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう  倉貫 義人 (著)

社長も投票で決める会社をやってみた。  武井 浩三 (著)

 

追記:当日の資料も入手したので貼り付ける

speakerdeck.com

 

組織のハードとソフト

ティール組織とか自然経営とかホラクラシーとか、いわゆる自律分散型の経営・組織運営のスタイルについて、

身の周りで耳にする機会もとても多く、また、今やっている仕事柄関わらせて頂いたり議論したりする機会も多いんですが、

話す中で違和感を感じることも、結構あります。

 

言いたいことをまとめようとしたら、いくつかあったので、詳細は何回かに分けて書こうと決めたのですが、ざっくり言うと、

  1. 組織にはハードとソフトがある
  2. ハードとソフトがマッチしないと上手くいかない
  3. ハードとソフトは、連動して成長・成熟させる必要がある
  4. ハードよりもソフトの進化をちょっとだけ優先しよう

の4つです。

(当たり前じゃん、って怒る人もいそうですが、割とこの前提は飛ばして議論されることが多い気がしています)

 

図にまとめてみたので、以降はこの図に基づいて書きます。

 

f:id:matsuinu:20190204121252p:plain

組織のハードとソフト
組織には、ハードとソフトがある

ここは前提を揃える上で表現しておきたいのですが、組織を考える際に、「ハード」と「ソフト」に分けて考えると、考えやすいのではないか、と考えます。

 

ハード・・・

仕組み、運営方式、各種の制度、組織構造、役職や配置、

 

ソフト・・・

メンバーの能力・資質・考え方、組織の雰囲気

 

あたりが考えられるかと思います。

(観点に抜けや漏れがあるかもしれませんので、ここはご指摘頂けたら嬉しいです)

 

 で、それぞれには性格・性質があると思ってまして、ざっくり言えば、

ハード:管理監督をするか、しないか

ソフト:自ら走るか、走らないか(管理監督をされたいか、されたくないか)

で、成熟度を測れると考えます。

(成熟、というからには、非管理で自走、が良いという立ち位置なのですが、ここについては後述します)

 

実際には、4象限で切れるほど単純ではなく、グラデーションがあるのですが、便宜上図のように4つに区切り、それぞれの特徴を表記してみます。

(ちなみに、究極的には④が良いと思っていますが、それだけ難易度も高いと思っています)

 

①管理型のマネジメント

「自律はしない」という前提に基づいて、「どう管理すれば、指示・命令通り動くか」を志向します。長らく多くの組織がこの運営形態でした。

これにはメリットもあって(じゃないと長い間多くの組織がこの形態は取らない)、

4つの累計の中では、最も効率的で、決まったことは実行されます。

「答えがわかっている場合」は、とても上手くいくやり方です。

 

②行き過ぎた管理

管理型で運営するのですが、メンバーは自走したがる、というケースです。

これも、一定の成果は出ますが、メンバーの不満は最もたまりやすくなります。

色々考え、自ら走りたいのに、それを制限される形になります。

短期的には、考えられる人を管理するので、最も成果が出る可能性もありますが、

不満が一定値を超えると、優秀なメンバーほど離脱する恐れがあり、

この状態が続くと、①に戻ってしまいます。

(なお、「終身雇用が常識」だと、離脱リスクが抑えられるので、②が長期的に続くことは成り立ちます)

 

③単なる放任

構成するメンバーが自走せず(できず)、何をすべきか、指示がないと動けない状態にも関わらず、自律分散で運営する、しようとするケースです。

①〜④の中では最も結果が出ず、上手くいきません。

が、「ソフト」を考慮せずに「ハード」だけいじろうとすると(流行に流されて)、

このケースには結構陥りがちだと思います。

冒頭の「違和感」に通じるところです。

 

④上手くいく自律分散

目指す形ですし成果も出ますが、難易度はとても高いと思います。

(ここは、多くの書籍や記事で論じられてますので、割愛します)

 

分けて書いたのに、とても長くなってしまったのですが、

続きはまた今度書くことにします。気が向いたら。

 

==追記==

組織のハードとソフトについては、マッキンゼーの7Sでも良いかも、と示唆を頂いたのでここに転記。運営スタイルに影響するハード/ソフトを考える際は、ここでソフトに分類されたものもハードとソフトで分類し直した方が良さそう。もう少し考察したい。

 

【ハード】
1.戦略 - 事業優位性、事業方向性
2.組織 - 機能別組織、部署
3.システム - 評価・報酬、採用・育成、意思決定のプロセス、情報の流れ、会計制度

【ソフト】
1.価値観 - 価値観、理念、ビジョン、長期に渡る組織目標
2.スキル - 組織技術(販売力、技術力、マーケティング力など)
3.人材 - 個々の人材の能力
4.スタイル - 会社の社風、組織文化、暗黙の行動規範

 

7Sとは - マッキンゼー提唱のフレームワーク | 分析手法・注意点・ポイント - 経営企画・マーケティング | ボクシルマガジン

個人が副業、複業するのって、企業が新規事業するのと同じ

フリーで働き始めて、いくつかの仕事を同時に行うようになって、

一番感じていることの一つが、表題のことです。

(あえて、文中では複業と副業を使い分けて書きます)

 

 ・個人に複業禁じるのは、企業に「単一事業しかやっちゃダメ」って言うのと同じ

社員の複業・副業について、「禁止」や「許可制」や「OK」など、企業によってスタンスや方針は異なると思うんですが、

例えば銀行や投資家の方が、企業に対して、「今の事業しか今後もやっちゃダメ」って言うことは、まずないと思います。

(ただし、今のフェーズではあれこれ手を出さない方が良い、は大いにある)

 

なので、個人についても、「今のフェーズでは集中すべきか、新たな領域に足を踏み出すべきか」と言う個々に対する判断は重要だと思いますが、

みんなが一律●●、と言うのは難しいのかな、と思います。

 

・中途半端に取り組んでも、新規事業も副業もうまくいかない

次にこれ。両者とも、まずは小さく始めて、、と言うアドバイスを、時折聞きます。

小さい規模で始めるのは、リスクの観点からもとても良いと思うんですが、

規模を小さくするのと、片手間で力を入れずにやるのは、全然違うと思います。

 

・ポイントは「力の配分」と「自分を知ること」

この項目は、個人に関して、の意見ですが、

複業(複数の仕事)をやる上で一番大事なのは、

「何にどれくらい力を配分するか(しているか)」

「自分のキャパはどれくらいか?(時間的に、能力的に)」

「何が得意で、何が苦手なのか?」

を、知る・考える機会を作ることだと思います。

 

これは、定期的に棚卸したり、見直したりすることで、より深く見えてきますし、

時期が経つにつれ変わって(成長して)くるものなので、棚卸すのがめちゃおすすめです。

 

・会社に居ながらでも訓練はいくらでもできる

で、最後にこれなのですが、いきなり会社からでる、とか、社外で副業やる、とかだと、

ハードルが高かったり、色々許可が要ることもあると思うので、

まずはおすすめなのが、「会社にいながら複数の仕事をしてみる」ことです。

その際に、何に何パーセント力を割くのか、を、周りの人に相談したり、共通認識を取ったり。

全く知らない領域に飛び込むよりも、リスクも低く、学びも多いと思います。

 

、、、とここまで書いてきて自分の中で整理できてきたんですが、

企業や組織が取るべきは、「制度による規制」ではなくて、「スタンスに対するアドバイスや指導・示唆」なんだろうなぁ、って思います。