こんにちは。
基本的に毎週書こうと思いつつ、2週間ぶりのエントリです。
直近で何件か連続して、「ミッションやバリューを浸透したい」というお題に向き合う機会がありました。
多くの組織で半ば当たり前のように掲げられているミッション・ビジョン・バリュー。
(最近はパーパスも増えてきましたね。呼び名や定義は組織によってやや違いがあります)
作ったは良いけど、昔からいる方、新たに入った方、経営陣、現場メンバー、
策定に関わった方、Join後に教わった方、
などなど、
関係者が色々であればあるほど、ミッション等(長くなるんでここではこう呼びます)との距離や付き合い方が変わってきます。
そして、組織を運営する、成長していくことを考えると、ミッションを「浸透させたい!」というニーズが出てきます。
ただ、上手くいっている会社、そうでない会社に分かれるなー、と思うことが多いです。
色々相談したり、考えたりする中で、割としっくり来るエッセンスにまとめられたので、今回はそれを紹介させてください。
※本もたっくさん出てますし、全くのオリジナルな理論ではないと思いますが、温かい目で見てやってください。
目次:
■ミッション等の浸透には手順がある
■嫌だけどありがちな、ミッション等にまつわるバッドパターン
■まとめ:浸透は北風、対話は太陽
■ミッション等の浸透には手順がある
ミッション浸透は、
①知る②理解する③共感する④実行する⑤深化・昇華する
の手順で説明できます。
①知る
まずはここから。自社のミッションやバリュー、みんな知ってますか?
昔は終身雇用、全員フルコミットが当たり前でしたから、全員知ってて当たり前、と言いやすかったかもしれません。
が、今は、中途入社者が多くを占めたり、副業・複業の方がいたりと、多様性も上がってきています。
そうすると、「そもそも知らない」「え、バリューあるの?」みたいな方がいてもおかしくありません。
(エージェントさんとか、取引先とか、広義の関係者になるとなおさらでしょう)
なのでまず、「知ってる」ことが、割と大事なファーストステップになります。
②理解する
知る、のステップをクリアしたら、次は「理解する」です。
①と同じじゃないの?と思われるかもしれませんが、結構違います。
どういうことかと言うと、
表出化された言葉自体は、多くの組織で割とありきたりだったりします。
一方で、一つひとつの言葉に込められた背景や、なぜこのフレーズや概念を採用・選定したか、という部分やヒストリー、物語は、一つひとつの組織によって異なりますし、
その背景や思想こそが、ワーディングそのものより大事な場合が多いです。
となると、それを理解することは、とても重要なプロセスであり、この「理解する」ということは、とても奥が深いプロセスになります。
(知ることは、その入り口に立つ、と言えます)
③共感する
理解の次は、共感する、です。
ちなみにこの共感が一番大事、にも関わらず、飛ばされがち、かつ、
飛ばしてしまうことでの不幸が大きいプロセスです。
(ここまで「浸透」という言葉を使ってきていますが、実は私は「浸透」という概念でミッション等と接するのはそれほど好ましくないと思っています)
ミッション等を知ったり、理解を深めたりする中で、「共感できるかどうか」を関わる人が確認し、すりあわせ、紡いでいく、理解が足りないことに気がつき、さらに理解を深める、対話する、というプロセスが、本トピックのキモになります。
一人ひとりが全く同じではない価値観を持った中で、同じもの・ことを目指す組織で協働する上で、共通しうる価値観はどのような部分なんだろう?
個人商店の集まりではなく、チームで、みんなで何を目指していくんだろう?
これを明文化したものがミッションでありバリューであるはずで、
ここを共感しにいく、対話するプロセスで生まれた文脈にこそ、貴重な価値があります。
④実行する
実践したり、体現したり、体現するシーンを観察したり、体感したり、という、
抽象から具体に移すプロセスを総称しています。
③までのプロセスで、「アタマでわかる」は実現できますが、体感としてしっくり来る上で、実行するプロセスが重要になってきます。
②〜④は、いったりきたりするイメージです。
⑤深化・昇華する
②〜④を繰り返すうちに、熟成されて、場合によってはビジョンやミッションのアップデートが必要になったり、文脈が深くなっていきます。
以上がミッション等の浸透の手順です。
(繰り返しですが、「浸透」という表現が必ずしも適切ではないとは思います)
■嫌だけどありがちな、ミッション等にまつわるバッドパターン
ミッション等を深めていく上で理解しておきたい、「ダメなパターン」を記述します。
書き出してみると「こんなことあるかいな」って感じなんですが、結構当てはまりがちだと思います。
先に紹介した①〜⑤の裏返しになります。
①知らない(↔︎知る)
そもそも自社のミッションやビジョン、バリューを知らない、覚えていない、
という状態です。
(たくさんあって覚えきれない、覚えきれないほどたくさんある、というケースも散見します)
②理解しているようで理解していない(↔︎理解する)
文言に込められた本質的な意味を理解していなかったり、その場で都合の良いように誤用するパターンです。
トップダウン的なチームで、上司が部下に言うことを聞かせるためにバリューを都合よく使って指導するケースがここに当てはまります。
本来の意味とズレた使い方をされると、言われた側のストレスはとても大きく、
とても悪い効果が生じます。
③実は共感していない(↔︎共感する)
表現は極端ですが、これも結構起こりえます。
理念やミッション・バリューは、「共感してしかるべきもの」「従って然るべきもの」みたいに扱われることが割と多く、
共感していない、だったり、疑問を持っている、ということが、イコール悪、
みたいな扱いをされるケースがあります。
②に戻りますが、本質的な理解をしようとしたり、深く向き合おうとすると、疑問が出てきたり、わからない部分が出てくる、文脈が深まる、ということはとても健全なことですが、それを言えない空気感だったり、「何を今更言ってるんだ?」みたいな反応が出てくる(ここまで極端ではないにしても)ことがあります。
④実行したふりをする(↔︎実行する)
これも割とありがちです。
ミッションやバリューは、しばしば「人事評価」に紐づいていることがあり、
「実行したふりをする」ことが高い評価を得ることに繋がることがあります。
そうすると、「実行したふりをする」力学が働いてしまいます。
⑤風化する(↔︎深化する・昇華する)
②〜④のバッドパターンが繰り返される結果、ミッションやバリューは風化します。
どんなに良いことが書かれていても、誰も何も気にしない。
、、、そんな極端な、と思われるかもしれませんが、こういう会社や組織は悲しいほどに多いです。
■まとめ:浸透は北風、対話は太陽
ミッションやバリューに限らずかもしれませんが、
組織や集団において、「浸透させよう」というアプローチは、
寓話「北風と太陽」で言うところの北風に似ていると思います。
浸透させようとすればするほど、対象者がコートを着込んでしまう。
一方で、深めよう、場合によっては(または、しっくりこなくなったら)変えよう、というスタンスで、対話を重ねるアプローチは、太陽と言えます。
結果として深まり、昇華し、その過程を通じて文脈が生まれ、
生まれた文脈はかけがえのないものとなります。
今回は以上です!