ティール組織とか自然経営とかホラクラシーとか、いわゆる自律分散型の経営・組織運営のスタイルについて、
身の周りで耳にする機会もとても多く、また、今やっている仕事柄関わらせて頂いたり議論したりする機会も多いんですが、
話す中で違和感を感じることも、結構あります。
言いたいことをまとめようとしたら、いくつかあったので、詳細は何回かに分けて書こうと決めたのですが、ざっくり言うと、
- 組織にはハードとソフトがある
- ハードとソフトがマッチしないと上手くいかない
- ハードとソフトは、連動して成長・成熟させる必要がある
- ハードよりもソフトの進化をちょっとだけ優先しよう
の4つです。
(当たり前じゃん、って怒る人もいそうですが、割とこの前提は飛ばして議論されることが多い気がしています)
図にまとめてみたので、以降はこの図に基づいて書きます。
組織には、ハードとソフトがある
ここは前提を揃える上で表現しておきたいのですが、組織を考える際に、「ハード」と「ソフト」に分けて考えると、考えやすいのではないか、と考えます。
ハード・・・
仕組み、運営方式、各種の制度、組織構造、役職や配置、
ソフト・・・
メンバーの能力・資質・考え方、組織の雰囲気
あたりが考えられるかと思います。
(観点に抜けや漏れがあるかもしれませんので、ここはご指摘頂けたら嬉しいです)
で、それぞれには性格・性質があると思ってまして、ざっくり言えば、
ハード:管理監督をするか、しないか
ソフト:自ら走るか、走らないか(管理監督をされたいか、されたくないか)
で、成熟度を測れると考えます。
(成熟、というからには、非管理で自走、が良いという立ち位置なのですが、ここについては後述します)
実際には、4象限で切れるほど単純ではなく、グラデーションがあるのですが、便宜上図のように4つに区切り、それぞれの特徴を表記してみます。
(ちなみに、究極的には④が良いと思っていますが、それだけ難易度も高いと思っています)
①管理型のマネジメント
「自律はしない」という前提に基づいて、「どう管理すれば、指示・命令通り動くか」を志向します。長らく多くの組織がこの運営形態でした。
これにはメリットもあって(じゃないと長い間多くの組織がこの形態は取らない)、
4つの累計の中では、最も効率的で、決まったことは実行されます。
「答えがわかっている場合」は、とても上手くいくやり方です。
②行き過ぎた管理
管理型で運営するのですが、メンバーは自走したがる、というケースです。
これも、一定の成果は出ますが、メンバーの不満は最もたまりやすくなります。
色々考え、自ら走りたいのに、それを制限される形になります。
短期的には、考えられる人を管理するので、最も成果が出る可能性もありますが、
不満が一定値を超えると、優秀なメンバーほど離脱する恐れがあり、
この状態が続くと、①に戻ってしまいます。
(なお、「終身雇用が常識」だと、離脱リスクが抑えられるので、②が長期的に続くことは成り立ちます)
③単なる放任
構成するメンバーが自走せず(できず)、何をすべきか、指示がないと動けない状態にも関わらず、自律分散で運営する、しようとするケースです。
①〜④の中では最も結果が出ず、上手くいきません。
が、「ソフト」を考慮せずに「ハード」だけいじろうとすると(流行に流されて)、
このケースには結構陥りがちだと思います。
冒頭の「違和感」に通じるところです。
④上手くいく自律分散
目指す形ですし成果も出ますが、難易度はとても高いと思います。
(ここは、多くの書籍や記事で論じられてますので、割愛します)
分けて書いたのに、とても長くなってしまったのですが、
続きはまた今度書くことにします。気が向いたら。
==追記==
組織のハードとソフトについては、マッキンゼーの7Sでも良いかも、と示唆を頂いたのでここに転記。運営スタイルに影響するハード/ソフトを考える際は、ここでソフトに分類されたものもハードとソフトで分類し直した方が良さそう。もう少し考察したい。
【ハード】
1.戦略 - 事業優位性、事業方向性
2.組織 - 機能別組織、部署
3.システム - 評価・報酬、採用・育成、意思決定のプロセス、情報の流れ、会計制度
【ソフト】
1.価値観 - 価値観、理念、ビジョン、長期に渡る組織目標
2.スキル - 組織技術(販売力、技術力、マーケティング力など)
3.人材 - 個々の人材の能力
4.スタイル - 会社の社風、組織文化、暗黙の行動規範
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