よはくのらくがき

2005年から社会人、2016年からフリーランス。時折会社員へと往復したり、色々働くを実験・実践中。気づいたこと考えたことをまとめていきます。

組織のハードとソフト

ティール組織とか自然経営とかホラクラシーとか、いわゆる自律分散型の経営・組織運営のスタイルについて、

身の周りで耳にする機会もとても多く、また、今やっている仕事柄関わらせて頂いたり議論したりする機会も多いんですが、

話す中で違和感を感じることも、結構あります。

 

言いたいことをまとめようとしたら、いくつかあったので、詳細は何回かに分けて書こうと決めたのですが、ざっくり言うと、

  1. 組織にはハードとソフトがある
  2. ハードとソフトがマッチしないと上手くいかない
  3. ハードとソフトは、連動して成長・成熟させる必要がある
  4. ハードよりもソフトの進化をちょっとだけ優先しよう

の4つです。

(当たり前じゃん、って怒る人もいそうですが、割とこの前提は飛ばして議論されることが多い気がしています)

 

図にまとめてみたので、以降はこの図に基づいて書きます。

 

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組織のハードとソフト
組織には、ハードとソフトがある

ここは前提を揃える上で表現しておきたいのですが、組織を考える際に、「ハード」と「ソフト」に分けて考えると、考えやすいのではないか、と考えます。

 

ハード・・・

仕組み、運営方式、各種の制度、組織構造、役職や配置、

 

ソフト・・・

メンバーの能力・資質・考え方、組織の雰囲気

 

あたりが考えられるかと思います。

(観点に抜けや漏れがあるかもしれませんので、ここはご指摘頂けたら嬉しいです)

 

 で、それぞれには性格・性質があると思ってまして、ざっくり言えば、

ハード:管理監督をするか、しないか

ソフト:自ら走るか、走らないか(管理監督をされたいか、されたくないか)

で、成熟度を測れると考えます。

(成熟、というからには、非管理で自走、が良いという立ち位置なのですが、ここについては後述します)

 

実際には、4象限で切れるほど単純ではなく、グラデーションがあるのですが、便宜上図のように4つに区切り、それぞれの特徴を表記してみます。

(ちなみに、究極的には④が良いと思っていますが、それだけ難易度も高いと思っています)

 

①管理型のマネジメント

「自律はしない」という前提に基づいて、「どう管理すれば、指示・命令通り動くか」を志向します。長らく多くの組織がこの運営形態でした。

これにはメリットもあって(じゃないと長い間多くの組織がこの形態は取らない)、

4つの累計の中では、最も効率的で、決まったことは実行されます。

「答えがわかっている場合」は、とても上手くいくやり方です。

 

②行き過ぎた管理

管理型で運営するのですが、メンバーは自走したがる、というケースです。

これも、一定の成果は出ますが、メンバーの不満は最もたまりやすくなります。

色々考え、自ら走りたいのに、それを制限される形になります。

短期的には、考えられる人を管理するので、最も成果が出る可能性もありますが、

不満が一定値を超えると、優秀なメンバーほど離脱する恐れがあり、

この状態が続くと、①に戻ってしまいます。

(なお、「終身雇用が常識」だと、離脱リスクが抑えられるので、②が長期的に続くことは成り立ちます)

 

③単なる放任

構成するメンバーが自走せず(できず)、何をすべきか、指示がないと動けない状態にも関わらず、自律分散で運営する、しようとするケースです。

①〜④の中では最も結果が出ず、上手くいきません。

が、「ソフト」を考慮せずに「ハード」だけいじろうとすると(流行に流されて)、

このケースには結構陥りがちだと思います。

冒頭の「違和感」に通じるところです。

 

④上手くいく自律分散

目指す形ですし成果も出ますが、難易度はとても高いと思います。

(ここは、多くの書籍や記事で論じられてますので、割愛します)

 

分けて書いたのに、とても長くなってしまったのですが、

続きはまた今度書くことにします。気が向いたら。

 

==追記==

組織のハードとソフトについては、マッキンゼーの7Sでも良いかも、と示唆を頂いたのでここに転記。運営スタイルに影響するハード/ソフトを考える際は、ここでソフトに分類されたものもハードとソフトで分類し直した方が良さそう。もう少し考察したい。

 

【ハード】
1.戦略 - 事業優位性、事業方向性
2.組織 - 機能別組織、部署
3.システム - 評価・報酬、採用・育成、意思決定のプロセス、情報の流れ、会計制度

【ソフト】
1.価値観 - 価値観、理念、ビジョン、長期に渡る組織目標
2.スキル - 組織技術(販売力、技術力、マーケティング力など)
3.人材 - 個々の人材の能力
4.スタイル - 会社の社風、組織文化、暗黙の行動規範

 

7Sとは - マッキンゼー提唱のフレームワーク | 分析手法・注意点・ポイント - 経営企画・マーケティング | ボクシルマガジン

個人が副業、複業するのって、企業が新規事業するのと同じ

フリーで働き始めて、いくつかの仕事を同時に行うようになって、

一番感じていることの一つが、表題のことです。

(あえて、文中では複業と副業を使い分けて書きます)

 

 ・個人に複業禁じるのは、企業に「単一事業しかやっちゃダメ」って言うのと同じ

社員の複業・副業について、「禁止」や「許可制」や「OK」など、企業によってスタンスや方針は異なると思うんですが、

例えば銀行や投資家の方が、企業に対して、「今の事業しか今後もやっちゃダメ」って言うことは、まずないと思います。

(ただし、今のフェーズではあれこれ手を出さない方が良い、は大いにある)

 

なので、個人についても、「今のフェーズでは集中すべきか、新たな領域に足を踏み出すべきか」と言う個々に対する判断は重要だと思いますが、

みんなが一律●●、と言うのは難しいのかな、と思います。

 

・中途半端に取り組んでも、新規事業も副業もうまくいかない

次にこれ。両者とも、まずは小さく始めて、、と言うアドバイスを、時折聞きます。

小さい規模で始めるのは、リスクの観点からもとても良いと思うんですが、

規模を小さくするのと、片手間で力を入れずにやるのは、全然違うと思います。

 

・ポイントは「力の配分」と「自分を知ること」

この項目は、個人に関して、の意見ですが、

複業(複数の仕事)をやる上で一番大事なのは、

「何にどれくらい力を配分するか(しているか)」

「自分のキャパはどれくらいか?(時間的に、能力的に)」

「何が得意で、何が苦手なのか?」

を、知る・考える機会を作ることだと思います。

 

これは、定期的に棚卸したり、見直したりすることで、より深く見えてきますし、

時期が経つにつれ変わって(成長して)くるものなので、棚卸すのがめちゃおすすめです。

 

・会社に居ながらでも訓練はいくらでもできる

で、最後にこれなのですが、いきなり会社からでる、とか、社外で副業やる、とかだと、

ハードルが高かったり、色々許可が要ることもあると思うので、

まずはおすすめなのが、「会社にいながら複数の仕事をしてみる」ことです。

その際に、何に何パーセント力を割くのか、を、周りの人に相談したり、共通認識を取ったり。

全く知らない領域に飛び込むよりも、リスクも低く、学びも多いと思います。

 

、、、とここまで書いてきて自分の中で整理できてきたんですが、

企業や組織が取るべきは、「制度による規制」ではなくて、「スタンスに対するアドバイスや指導・示唆」なんだろうなぁ、って思います。

 

仕事や職場を選ぶ基準

就職でも、転職でも良いのですが、
仕事や職場を決める際に、判断する方法、ガイドラインを書き起こしてみます。
(割と色んなところで聞くけど、案外整理されてない人が多いので)
 
以下はあくまで整理するプロセスなので、直感・本能に従って決めるのはむしろ良いことだと思っています。
(こんなこと書いてる僕自身、今までほぼ直感で決めてきています)
整理したり、考えたりする際の、切り口の一つくらいに思って頂ければ。
 
1)仕事や職場を決める際に、大事にしたい要素を洗い出す
  まずはざざっと洗い出します。
  例えば、
  事業の内容・仕事の内容・理念やビジョン、大事にしていること
  ・一緒に働く人・会社の雰囲気・収入や福利厚生など
  などがあると思います。
 
2)要素に、優先順位や重み付けをする
  洗い出した中で、「これは自分にとって大事だな」「これはそれほど大事じゃないな」を、
  あれこれ考えて、並べ替えてみます。
 
3)今、候補にしているところを、1と2で作った基準で確かめてみる
  候補がなければ、色々サンプルや求人を見てみると良いです。
  そういう意味では、新卒の就活では一見興味ないと思うところにも、
  説明を聞きに行ってみると、何か発見があるかもしれません。
 
4)最後に直感的に違和感がないかをチェックする
  確かめると、一見筋道立てて考えたっぽい表ができると思います。
  その表を眺めて見て、直感を働かせることが大事です。
  ここで違和感が出たら、1と2に戻ってみましょう。
  違和感が出ることも結構多いと思いますし、このプロセスを飛ばしてしまうと、
  仕事を始めた後に「何か違う、、、」ってなる可能性があります。
 
大事なのは、直感を大事にするってことだと、色々振り返って思います。
(ただし、直感は経験により研ぎ澄まされるので、今の直感が正しいか、は、
 残念ながらわかりません)
 
今は、新卒でも中途でもその他でも、エージェントやカウンセラー、コンサルタントの方と
相談しながら仕事や進路を探す人も多いと思います。
その際に、この辺をきちんと話せる人を、是非選んでみてください!

評価リテラシーを高めよう

最近、割と色々なところで、評価や報酬って難しいよね、という話を

したり聞いたりする機会が増えてきました。

 

なんでかなーとあれこれ考えてみたので、備忘録がてらまとめてみます。

 

【サマリ】

1)評価の仕組みには正解がなく、都度都度の最適解しかない

2)「測れない・測りづらいもの」と、上手に付き合おう

3)「ルールづくり」と同じくらい、「リテラシー向上」に力を注いだ方が良い

 

1)評価の仕組みには正解がなく、都度都度の最適解しかない

まず、何が一番難しい(というかもどかしい)かというと、正解がないんです。

ちゃんと制度を作るって、真面目にやると結構時間が掛かると思うんですが、

組織とか、環境とか、市場の状況が都度かわるから、時間を掛けた割に「効果が得られた感」を得づらいように思います。

(しかも、年々難易度が上がっているように思います。その理由は後述します)

 

なので、とても「もどかしい」です。

 

2)「測れない・測りづらいもの」と、上手に付き合おう

ではなぜ、測る仕組みを作る難易度が上がってるか、なのですが、

「測れないものを定量化しないといけない」機会が、昔に比べて増えたからです。

 

昔は、「作れば売れる」が強かった時代なので、

営業成績や、商品の歩留まり率、ロス率など、成果を測ることが比較的簡単でした。

かつ、営業ができる人=説得するのが上手い人、という側面もあるので、

組織内で、「数値を上げられる人=成果が大きい人」という価値観も、強かったと思います。

 

今は、「売れるものを作らないと売れない」時代なので、

(社会全体の流動性が高まったり、流通する情報量が増えたり、などによって)

良いものを作る、ということへの価値の比重が、上がってきました。

あるいは、「安心・安全」であることの価値も高まってきているので、

「安全を担保する」ことの価値や難易度も、上がってきています。

 

でも、ここで難しいのは、「良いものを作る」とか、「安全を担保する」ことって、

案外測りづらいんです。

例えば、単位時間あたりにコードが多く書けるエンジニアが優秀なエンジニアか、というと、必ずしもそうではないですし、

デザインとかクリエイティブに至っては、みんなが納得する点数付けはナンセンスだと言えると思います。

 

そんな状況で、全てを測ることはとても難しいことなのですが、

人は測りたくなる性質がある(みんなじゃないかもしれないけど)のと、

測った結果(報酬)は、測れる形で出すことになるので、

どうにも、「もどかしさ」が生まれます。

 

3)「ルールづくり」と同じくらい、「リテラシー向上」に力を注いだ方が良い

では、どうすればよいの?が、最後に来るんですが、

ルール・仕組みづくりは、たえず行い続ける、見直し続ける、アップデートし続ける、

という姿勢をもつ(実際にそうする)のと、

「組織内の評価に対するリテラシーを上げる」ことに、知恵と時間を使うことが、

最適解なのかな、と思います。

 

具体的には、「ルールを正しく伝える」「ルールを正しく理解する」「評価をしてみる」「評価の振り返りや、フィードバック、訓練をする」などに、

きちんと時間と思考を投入する、ってことかなーと。

 

この部分、何度も繰り返して、検証して、新しいルールに適応して、というのは、

多くの人があまり意識していない分野(鍛えていない筋肉)だと思うので、

少しだけでも意識を振り向けることで、良いことは結構あるなぁと思います。

(個人単位でこの訓練をすることは、例え会社をまたいでも有効なスキルだと思います)

目標を立てる3つの目的

色々な会社で働かせて頂く中で、「目標」の捉え方や扱い方について、

会社や個人でけっこうなバラつきがあるのを感じる。

 

色んな会社で色んな目標に出会ってきたけど、目標を立てる目的については、

概ね以下の3つに集約される気がしてきた。

(そして、この3つの目的について考えられている目標は、よく機能している気がする)

1.パフォーマンスを最大にするため

2.仕事を面白くするため

3.チームをチームとして機能させるため

 

1.パフォーマンスを最大にするため

目標を立てたら、現在地からどうやってその目標地点にいこうか、って考えて、トライし始めるわけだけど、

目的地に向かってるんだっけ?とか、このペースで行くと間に合うんだっけ?とか、

間に合わなそうだとわかったら、どうやったら間に合うようになるんだっけ?とか、

あれこれ知恵が湧いてくる、知恵を出す機会を作れるのが、大きなメリットの一つだなと。

※パフォーマンスが最大になる目標と、そうでない目標があると思うので、それは別で整理したい

 

2.仕事を面白くするため

1は、目標について論じられてる本にはだいたいそれっぽいことが書いてあるし、多くの人が意識してるんだけど、

これはあまり意識されてない、すっ飛ばされてる気がする。

(私の周りでは減ったけど、「ノルマ」にはだいたいこの視点は無い)

ゲームはやめられず、仕事には飽きる理由 - ライブドアニュース

↑ここに書かれてる4つの視点が盛り込まれてると強い

 

3.チームをチームとして機能させるため

仕事でもスポーツでもなんでも、

「このチームって何を目指してるんだろう? 」

は、揃ってるようで揃ってないことが多いと思う。

 

例えば野球のチームでも、

「地区大会で勝てれば良い」と思ってるのと、

「なにがなんでも甲子園に行くぞ!」と思ってるのと、

「楽しくスポーツできれば良いよね」と思ってるのでは、取り組み方が全然違う。

ここが揃わないでチームが動くと、それぞれが不満を抱えるし、揃えるのは結構難しい。

(職場を選ぶ時にも、どこを目指すチームなのかには興味を持ったほうが良いのにな、って

 採用関連の仕事をしたりするとちょいちょい思う)

 

それぞれもっと深掘りしたいけど、それはまた気が向いたら。