前々回、自走型人材を扱ったところから派生して、今回は、
「自走力はどうやって育まれるのか?」について考えてみます。
自走力が育まれるってことは、自走する訓練ができる、ということで、
言い換えると、自ら考える機会が得られ、かつ、訓練ができること。
もうちょっと要素分解して、以下の4つにまとめてみました。
(書き起こすとめっちゃ当たり前なんだけど、これ全部満たしてる職場や環境ってあまり多くない気がしています)
1.一見何も生まない「考える時間」は許容されるか?
2.考える材料(情報)が提供され、かつ、アクセスしやすいか?
3.思考に対して適切なフィードバックやコーチングが得られるか?
4.考える習慣のある人が周りに多いか?
以下それぞれ書き起こします。
1.一見何も生まない「考える時間」は許容されるか?
考える時間が必要、というのは、直感的に誰もが理解できることだと思います。
ですが、「何も生まない時間」は、賃金や報酬を伴っていると、受け入れがたい(できれば減らしたい)物でもあります。
何かを考える時間は、側から見ると何も生み出していないようにも見えます。
(何か資料作成が進むわけでも、アウトプットが出るわけでもないので)
厄介なのは、実際に思考しているか、していないか、は判別がつかないし、
一生懸命考えて何も生み出せない(特に創造力を要する仕事だと)、ということもあるので、なおさら判別がしづらいです。
勝手に個人の時間で考えるなら、誰も何も言わないんですが、
多くの場合、仕事の時間には(支払い形態は異なれど)賃金や報酬が発生するので、報酬を払うからには何かを得たい、という心理が働きます。
(これはこれで当然のことですね)
そのため、ただ考える、ということに時間を費やすのを許容するのは、割と難しく、これを許容する、というのを第一の条件と置いています。
2.考える材料(情報)が提供され、かつ、アクセスしやすいか?
考える時間が確保できたら、次は思考の質です。
こと思考においては、より良質でより正確な材料(情報のインプット)がとても重要になってきます。
思考の質だけを考えたら、情報はフルオープンな方が良いですが、
・特許や知財、秘密のノウハウなど、機密にすべき
・上場企業なら株価に影響するなど、開示する影響が大きい
・表面だけ伝わると誤解を招く恐れがあるなど、何らかの事情で開示しづらい
などなど、情報をオープンにすることを阻害する要素もあるため、考える情報を入手できるかどうか、は、組織によって異なります。
また、情報の整理そのものは、直接付加価値を生み出さないため、情報の整理を後回しにしている組織も多くあります。あと、単純に人手不足、もありますし。
(取りに行くスタンスが大事なのは前提ですが、取りやすい場所に置いておけるかは別の問題)
なので、情報のオープンさ、アクセスのしやすさを高めることは、自走を促す上では大事な要素になります。
3.思考に対して適切なフィードバックやコーチングが得られるか?
3つ目にこれ。思考や自走の質を高めるに、自ら振り返りを行うのも大事なのですが、
「育む環境」と考えると、客観的に誰かに見てもらい、適切な軌道修正ができるかどうかはとても大事になります。
具体的には、良い上司やメンター、コーチなどがいるか、見つけられているか、ということです。
(ちなみに、直接の上司など、身の回りにそういう人がいなくても、適切な存在を見つける努力はできます)
4.考える習慣のある人が周りに多いか?
最後にこれ。めちゃくちゃ重要だと思ってまして、
考える習慣を持っている人が周りにいると、考えることは促進され、
考える習慣がない人が周りに多いと、考えることは抑制されます。
(運動も一緒ですね。コミュニティの効果は偉大です)
今回は「環境」という切り口で書きましたが、環境は整えていくものなので、
1〜4の条件を「たとえ今がそうじゃなくても」作りにいくことこそ、
自走力を育む上で最も重要なのかもしれません。