よはくのらくがき

2005年から社会人、2016年からフリーランス。時折会社員へと往復したり、色々働くを実験・実践中。気づいたこと考えたことをまとめていきます。

「自走型人材」を要素分解してみる

採用の仕事や組織づくりの仕事、その他諸々の仕事に携わってきて、

ほぼ、どの会社も口を揃えて「自走する人材が欲しい、自走する人材になって欲しい」と言っているような気がします。

 

色々、定義はありそうですが、私なりに「自走型人材」の要素を考えてみたいと思います。

なお、自立型、とか、自律型、とか色々表現はあるけど、概ね同じくくりだと認識しています。

表面的に捉えると色々誤解があるようにも思います。

 

ざっと検索するだけで色々出てくるので、それは割愛するとして、 

自立型人材 - Wikipedia

(ちなみにWikipediaにも定義が載ってた) 

 

まず一言で言い換えると、

「チームに求められる自己のベストパフォーマンスを、自ら発揮することができる」

かな、と考えました。

 

これを、

・チームに求められる

・自己のベストパフォーマンスを

・自ら発揮することができる

と要素分解します。

(当たり前っぽく書いてあるけど、どれも結構難しいです) 

 

・チームに求められる

チームに求められていることをすると、チームに貢献できます。 

こう書くと当たり前だし、だいたいのチームでは目標や役割を明示してたりするので、

一見、とても簡単なように見えます。

 

が、チームが本当に何を目指しているか、何を求めているかって、

案外、明示されてるものと違ったりします。

なので、

「今、何に取り組んでいるんだっけ?」

「本当に解決すべき課題は何なんだっけ?」

を、表面的にではなく、本質的に捉えにいくことが大事だと思います。

 

・自己のベストパフォーマンスを

次にこれです。これも、当たり前に見えるけど難しいです。

自分は何ができて、何ができないのか、を、正しく理解して、周囲に認知してもらうこと。

特に「何ができないのか」は、掴むのも、周りに表明するのも、難しいですね。

(私も未だに苦手です)

できないことをできるって言っちゃうと、自分も周囲もツラくなります。

(もちろん、できないことができるようになるようチャレンジする、ということも時には大事だし、それが成長に繋がるのですが)

 

あと、もう一つ注意すべきなのが、

ここで言う「できること」「できないこと」は、チームの中での相対的な立ち位置で捉える必要がある、ということです。

自分が完璧にできないから「できないこと」と思っても、チームの誰もが苦手なことであれば、自分がやるのが適切かもしれませんし(無いものは外から調達する、という視点も大事だけど、調達できるかどうかはわからない)。

自分を知ることはもちろんなのですが、チームメンバーのことを理解して、自分は何ができるのか、何ができないのか、を理解することが大事だと思います。

 

・自ら発揮することができる

最後にこれ。チームに求められていることと、自らのできることが明らかになったら、

それを実際に発揮することで、初めて自走になります。

自らの役割をきちんと定義し、明示し(チームに対して合意を形成し)、その役割を全うする。必要に応じて、協力体制も整える。

これができると、チームに対して最大限の貢献を果たせると思います。

ちなみに、チームへの合意形成が無いと、単なる暴走や独りよがりになってしまいます。

(たまに遭遇します。これに対するチームの許容度、みたいな話もある気がしていますが、それはまた別の機会に。)

 

これらを「自走力」って仮に定義したとすると、自走力って訓練によって身に付くコスパの高い習慣・能力のような気がしますし、

自走力を育む環境と、そうじゃない環境があるなぁと思います。

前者のような環境を選ぶことは、とても大事だなあと、改めて思います。

 

組織のハードとソフトをマッチさせよう

前回

  1. 組織にはハードとソフトがある
  2. ハードとソフトがマッチしないと上手くいかない
  3. ハードとソフトは、連動して成長・成熟させる必要がある
  4. ハードよりもソフトの進化をちょっとだけ優先しよう

のうち1を論じたのですが、今回は、組織のハード(運営形態や仕組み)とソフト(構成する人の自走度合い)はマッチしないとうまくいかないよ、という話をしたいと思います。(2と3)

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組織のハードとソフトは連動させよう

 

組織の運営スタイルや仕組みは、構成メンバーの成熟度と合わせる

管理しないと困るケースには、

①規制をしないと意図せぬ「悪いor非効率な」動きをする

②指示をしないと動けない

の2つがあります。

(ちなみに、管理が厳しくても、人は抜け穴を探し出すので、管理すれば管理できるってわけでもない)

 

じゃあ①や②の人をクビにすれば良いか、というと、それだと事業・仕事が回らないし、単に課題と向き合うことの放棄になるので、

色々と仕組みを作って管理したり、自走を促すよう育成したりしていきます。

 

ソフトはいつの間にか変わる、ハードはアップデートさせ続ける

上記に向き合った結果、適合しない人が辞めたり、育成によって自走度合いが上がったりするので、

(図で言うところの右側に寄っていく)

なんとなく、「今の仕組みがワークしない感」が出てきます。

(もっとややこしいのは、全員の自走度合いが同じわけじゃなくて、組織の中でも自走の度合いに違いが出てきます)

 

そのため、どんなにしっかりとした制度や仕組みを作ったとしても、きちんとチューニングし、アップデートしなければならないと思います。

 

これは肌感ですが、変化のスピードは時を追うごとに早くなってきているので、

時間と労力とお金を掛けて、大掛かりの仕組みを作るのではなく、

検証とマイナーチェンジ、バージョンアップを繰り返しながら、徐々に図の右上にシフトしていく、と言う気持ちで、ハードづくりに取り組むのが良いと考えます。

(そして、往々にして大掛かりに人事の仕組みを作った会社ほど、サンクコストに囚われてバージョンアップを怠り、結果仕組みに縛られる、という悲しいケースも結構ある気がしています)

 

次は、冒頭の4について書こうと思ったんですが、ハードとソフトのアップデートについて、考えをまとめてみたくなったので、次は「ソフトはハードに引っ張られる」ことと、「ソフトはどうやって右に持っていくのが有効か」を、考察しようと思います。

(そして、ここまで整理したら4はなんだか違う気がしてきました。笑)

 

考えるべきことを、考えざるを得なくするために色々工夫する 〜自然経営研究会イベントの感想〜

前回の投稿の続きを書こうと思ったけど、昨日参加したイベントでの気づきを書きます。

 

ちなみに主催者はこちら。

(当事者ではないけれどとりあえず宣伝)

jinen-management.org

 

2部制でパネルディスカッションが行われ、4社の自然経営を実践している企業の方が話され、色々なネーミングや、仕組みや、制度の紹介などもあったのですが、

自分なりにぐぐーっと意訳すると、キモは、

「考えるべきことを、考えざるを得なくするために色々工夫する」

に尽きるんじゃないかな、ということでした。

(本当に意訳です。取材も来ていたから、イベントの内容そのものはそちらのレポを見た方が良い気がします笑)

 

ポイントは、

1)考えるべきことを考える

2)考えざるを得なくなる仕組み作りや工夫をする

の2つかなと。

(イベント参加時は2だけだったんですが、振り返ると1も大事なポイントだな、と)

 

前提:これから残るのは「考える仕事」

機械に取って代わられる仕事って、「考えなくても良い仕事」で、

人間がやるべきは「考えること」に、これから益々なっていくと思います。

(広義で言うとクリエイティブになるのかな。細分化すると色々ありそうだけど)

となると、これからの「付加価値の源泉」は、「考えること」であるとも、

ちょっと強引ではありますが、言えると思います。

 

1)考えるべきことを考え、そうでないことは考えない

「考えた成果」をより多く出す上で、なんでもかんでも考えてたら、時間も体力も足りなくなります。

なので、

「考えるべきことと考えなくて良いことを仕分け、考えなくて良いことは、極力考えなくて良いようにする」

ことが必要だなぁと改めて思いました。

 

2)考えざるを得なくなる仕組み作りや工夫をする

 で、その次に、考えるのって気分が乗らないと中々進まなかったり、

ついつい考えなくて良いことを考えてしまったりするので、次にポイントなのが、

「考えるべきことを、考えざるを得なくなる仕組み作りや工夫をする」

なのかなと思います。

昨日のイベントで話されていた具体的な制度や仕組みは、つまるところここに向かっているのかな、と思います。

 

 

自然経営、と言うネーミングの通り、考えることを強いるのではなく、

「考えるべきことを、考えざるを得なくするメカニズム」を、いかに自然に作るか。

(考えることを強いるのも、時や人によってはとっても有効)

 

ここに知恵を絞り工夫をし、試行錯誤するのが、

自然経営における経営者の大事な仕事なんだろうなー、と思いました。

(私自身は経営者でもなんでもないんだけど)

 

 

追伸:折角なので、イベント登壇者の方々が宣伝してた本もご紹介。

管理ゼロで成果はあがる ~「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう  倉貫 義人 (著)

社長も投票で決める会社をやってみた。  武井 浩三 (著)

 

追記:当日の資料も入手したので貼り付ける

speakerdeck.com

 

組織のハードとソフト

ティール組織とか自然経営とかホラクラシーとか、いわゆる自律分散型の経営・組織運営のスタイルについて、

身の周りで耳にする機会もとても多く、また、今やっている仕事柄関わらせて頂いたり議論したりする機会も多いんですが、

話す中で違和感を感じることも、結構あります。

 

言いたいことをまとめようとしたら、いくつかあったので、詳細は何回かに分けて書こうと決めたのですが、ざっくり言うと、

  1. 組織にはハードとソフトがある
  2. ハードとソフトがマッチしないと上手くいかない
  3. ハードとソフトは、連動して成長・成熟させる必要がある
  4. ハードよりもソフトの進化をちょっとだけ優先しよう

の4つです。

(当たり前じゃん、って怒る人もいそうですが、割とこの前提は飛ばして議論されることが多い気がしています)

 

図にまとめてみたので、以降はこの図に基づいて書きます。

 

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組織のハードとソフト
組織には、ハードとソフトがある

ここは前提を揃える上で表現しておきたいのですが、組織を考える際に、「ハード」と「ソフト」に分けて考えると、考えやすいのではないか、と考えます。

 

ハード・・・

仕組み、運営方式、各種の制度、組織構造、役職や配置、

 

ソフト・・・

メンバーの能力・資質・考え方、組織の雰囲気

 

あたりが考えられるかと思います。

(観点に抜けや漏れがあるかもしれませんので、ここはご指摘頂けたら嬉しいです)

 

 で、それぞれには性格・性質があると思ってまして、ざっくり言えば、

ハード:管理監督をするか、しないか

ソフト:自ら走るか、走らないか(管理監督をされたいか、されたくないか)

で、成熟度を測れると考えます。

(成熟、というからには、非管理で自走、が良いという立ち位置なのですが、ここについては後述します)

 

実際には、4象限で切れるほど単純ではなく、グラデーションがあるのですが、便宜上図のように4つに区切り、それぞれの特徴を表記してみます。

(ちなみに、究極的には④が良いと思っていますが、それだけ難易度も高いと思っています)

 

①管理型のマネジメント

「自律はしない」という前提に基づいて、「どう管理すれば、指示・命令通り動くか」を志向します。長らく多くの組織がこの運営形態でした。

これにはメリットもあって(じゃないと長い間多くの組織がこの形態は取らない)、

4つの累計の中では、最も効率的で、決まったことは実行されます。

「答えがわかっている場合」は、とても上手くいくやり方です。

 

②行き過ぎた管理

管理型で運営するのですが、メンバーは自走したがる、というケースです。

これも、一定の成果は出ますが、メンバーの不満は最もたまりやすくなります。

色々考え、自ら走りたいのに、それを制限される形になります。

短期的には、考えられる人を管理するので、最も成果が出る可能性もありますが、

不満が一定値を超えると、優秀なメンバーほど離脱する恐れがあり、

この状態が続くと、①に戻ってしまいます。

(なお、「終身雇用が常識」だと、離脱リスクが抑えられるので、②が長期的に続くことは成り立ちます)

 

③単なる放任

構成するメンバーが自走せず(できず)、何をすべきか、指示がないと動けない状態にも関わらず、自律分散で運営する、しようとするケースです。

①〜④の中では最も結果が出ず、上手くいきません。

が、「ソフト」を考慮せずに「ハード」だけいじろうとすると(流行に流されて)、

このケースには結構陥りがちだと思います。

冒頭の「違和感」に通じるところです。

 

④上手くいく自律分散

目指す形ですし成果も出ますが、難易度はとても高いと思います。

(ここは、多くの書籍や記事で論じられてますので、割愛します)

 

分けて書いたのに、とても長くなってしまったのですが、

続きはまた今度書くことにします。気が向いたら。

 

==追記==

組織のハードとソフトについては、マッキンゼーの7Sでも良いかも、と示唆を頂いたのでここに転記。運営スタイルに影響するハード/ソフトを考える際は、ここでソフトに分類されたものもハードとソフトで分類し直した方が良さそう。もう少し考察したい。

 

【ハード】
1.戦略 - 事業優位性、事業方向性
2.組織 - 機能別組織、部署
3.システム - 評価・報酬、採用・育成、意思決定のプロセス、情報の流れ、会計制度

【ソフト】
1.価値観 - 価値観、理念、ビジョン、長期に渡る組織目標
2.スキル - 組織技術(販売力、技術力、マーケティング力など)
3.人材 - 個々の人材の能力
4.スタイル - 会社の社風、組織文化、暗黙の行動規範

 

7Sとは - マッキンゼー提唱のフレームワーク | 分析手法・注意点・ポイント - 経営企画・マーケティング | ボクシルマガジン

個人が副業、複業するのって、企業が新規事業するのと同じ

フリーで働き始めて、いくつかの仕事を同時に行うようになって、

一番感じていることの一つが、表題のことです。

(あえて、文中では複業と副業を使い分けて書きます)

 

 ・個人に複業禁じるのは、企業に「単一事業しかやっちゃダメ」って言うのと同じ

社員の複業・副業について、「禁止」や「許可制」や「OK」など、企業によってスタンスや方針は異なると思うんですが、

例えば銀行や投資家の方が、企業に対して、「今の事業しか今後もやっちゃダメ」って言うことは、まずないと思います。

(ただし、今のフェーズではあれこれ手を出さない方が良い、は大いにある)

 

なので、個人についても、「今のフェーズでは集中すべきか、新たな領域に足を踏み出すべきか」と言う個々に対する判断は重要だと思いますが、

みんなが一律●●、と言うのは難しいのかな、と思います。

 

・中途半端に取り組んでも、新規事業も副業もうまくいかない

次にこれ。両者とも、まずは小さく始めて、、と言うアドバイスを、時折聞きます。

小さい規模で始めるのは、リスクの観点からもとても良いと思うんですが、

規模を小さくするのと、片手間で力を入れずにやるのは、全然違うと思います。

 

・ポイントは「力の配分」と「自分を知ること」

この項目は、個人に関して、の意見ですが、

複業(複数の仕事)をやる上で一番大事なのは、

「何にどれくらい力を配分するか(しているか)」

「自分のキャパはどれくらいか?(時間的に、能力的に)」

「何が得意で、何が苦手なのか?」

を、知る・考える機会を作ることだと思います。

 

これは、定期的に棚卸したり、見直したりすることで、より深く見えてきますし、

時期が経つにつれ変わって(成長して)くるものなので、棚卸すのがめちゃおすすめです。

 

・会社に居ながらでも訓練はいくらでもできる

で、最後にこれなのですが、いきなり会社からでる、とか、社外で副業やる、とかだと、

ハードルが高かったり、色々許可が要ることもあると思うので、

まずはおすすめなのが、「会社にいながら複数の仕事をしてみる」ことです。

その際に、何に何パーセント力を割くのか、を、周りの人に相談したり、共通認識を取ったり。

全く知らない領域に飛び込むよりも、リスクも低く、学びも多いと思います。

 

、、、とここまで書いてきて自分の中で整理できてきたんですが、

企業や組織が取るべきは、「制度による規制」ではなくて、「スタンスに対するアドバイスや指導・示唆」なんだろうなぁ、って思います。

 

仕事や職場を選ぶ基準

就職でも、転職でも良いのですが、
仕事や職場を決める際に、判断する方法、ガイドラインを書き起こしてみます。
(割と色んなところで聞くけど、案外整理されてない人が多いので)
 
以下はあくまで整理するプロセスなので、直感・本能に従って決めるのはむしろ良いことだと思っています。
(こんなこと書いてる僕自身、今までほぼ直感で決めてきています)
整理したり、考えたりする際の、切り口の一つくらいに思って頂ければ。
 
1)仕事や職場を決める際に、大事にしたい要素を洗い出す
  まずはざざっと洗い出します。
  例えば、
  事業の内容・仕事の内容・理念やビジョン、大事にしていること
  ・一緒に働く人・会社の雰囲気・収入や福利厚生など
  などがあると思います。
 
2)要素に、優先順位や重み付けをする
  洗い出した中で、「これは自分にとって大事だな」「これはそれほど大事じゃないな」を、
  あれこれ考えて、並べ替えてみます。
 
3)今、候補にしているところを、1と2で作った基準で確かめてみる
  候補がなければ、色々サンプルや求人を見てみると良いです。
  そういう意味では、新卒の就活では一見興味ないと思うところにも、
  説明を聞きに行ってみると、何か発見があるかもしれません。
 
4)最後に直感的に違和感がないかをチェックする
  確かめると、一見筋道立てて考えたっぽい表ができると思います。
  その表を眺めて見て、直感を働かせることが大事です。
  ここで違和感が出たら、1と2に戻ってみましょう。
  違和感が出ることも結構多いと思いますし、このプロセスを飛ばしてしまうと、
  仕事を始めた後に「何か違う、、、」ってなる可能性があります。
 
大事なのは、直感を大事にするってことだと、色々振り返って思います。
(ただし、直感は経験により研ぎ澄まされるので、今の直感が正しいか、は、
 残念ながらわかりません)
 
今は、新卒でも中途でもその他でも、エージェントやカウンセラー、コンサルタントの方と
相談しながら仕事や進路を探す人も多いと思います。
その際に、この辺をきちんと話せる人を、是非選んでみてください!

評価リテラシーを高めよう

最近、割と色々なところで、評価や報酬って難しいよね、という話を

したり聞いたりする機会が増えてきました。

 

なんでかなーとあれこれ考えてみたので、備忘録がてらまとめてみます。

 

【サマリ】

1)評価の仕組みには正解がなく、都度都度の最適解しかない

2)「測れない・測りづらいもの」と、上手に付き合おう

3)「ルールづくり」と同じくらい、「リテラシー向上」に力を注いだ方が良い

 

1)評価の仕組みには正解がなく、都度都度の最適解しかない

まず、何が一番難しい(というかもどかしい)かというと、正解がないんです。

ちゃんと制度を作るって、真面目にやると結構時間が掛かると思うんですが、

組織とか、環境とか、市場の状況が都度かわるから、時間を掛けた割に「効果が得られた感」を得づらいように思います。

(しかも、年々難易度が上がっているように思います。その理由は後述します)

 

なので、とても「もどかしい」です。

 

2)「測れない・測りづらいもの」と、上手に付き合おう

ではなぜ、測る仕組みを作る難易度が上がってるか、なのですが、

「測れないものを定量化しないといけない」機会が、昔に比べて増えたからです。

 

昔は、「作れば売れる」が強かった時代なので、

営業成績や、商品の歩留まり率、ロス率など、成果を測ることが比較的簡単でした。

かつ、営業ができる人=説得するのが上手い人、という側面もあるので、

組織内で、「数値を上げられる人=成果が大きい人」という価値観も、強かったと思います。

 

今は、「売れるものを作らないと売れない」時代なので、

(社会全体の流動性が高まったり、流通する情報量が増えたり、などによって)

良いものを作る、ということへの価値の比重が、上がってきました。

あるいは、「安心・安全」であることの価値も高まってきているので、

「安全を担保する」ことの価値や難易度も、上がってきています。

 

でも、ここで難しいのは、「良いものを作る」とか、「安全を担保する」ことって、

案外測りづらいんです。

例えば、単位時間あたりにコードが多く書けるエンジニアが優秀なエンジニアか、というと、必ずしもそうではないですし、

デザインとかクリエイティブに至っては、みんなが納得する点数付けはナンセンスだと言えると思います。

 

そんな状況で、全てを測ることはとても難しいことなのですが、

人は測りたくなる性質がある(みんなじゃないかもしれないけど)のと、

測った結果(報酬)は、測れる形で出すことになるので、

どうにも、「もどかしさ」が生まれます。

 

3)「ルールづくり」と同じくらい、「リテラシー向上」に力を注いだ方が良い

では、どうすればよいの?が、最後に来るんですが、

ルール・仕組みづくりは、たえず行い続ける、見直し続ける、アップデートし続ける、

という姿勢をもつ(実際にそうする)のと、

「組織内の評価に対するリテラシーを上げる」ことに、知恵と時間を使うことが、

最適解なのかな、と思います。

 

具体的には、「ルールを正しく伝える」「ルールを正しく理解する」「評価をしてみる」「評価の振り返りや、フィードバック、訓練をする」などに、

きちんと時間と思考を投入する、ってことかなーと。

 

この部分、何度も繰り返して、検証して、新しいルールに適応して、というのは、

多くの人があまり意識していない分野(鍛えていない筋肉)だと思うので、

少しだけでも意識を振り向けることで、良いことは結構あるなぁと思います。

(個人単位でこの訓練をすることは、例え会社をまたいでも有効なスキルだと思います)